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第8話
風呂から素っ裸で 上がってきた要は
有無を言わさず俺をベッドへ引きずり込んだ。
さっきまで要の気持ちを疑って
真っ黒な気持ちに塗りつぶされそうだったのに好きなヤツに触られれば体は 簡単に反応する。
でもまだ…真っ黒な気持ちは拭いきれず
岡田の代わりだったらどうしよう…
なんて思ったりする…そんな自分が情けない。
俺のグズグズな気持ちを分かっているのか
要は俺の手を借りる事なく、俺の分身を手で高め、上に乗っかって自らの胎内 に飲み込んだ。
『ぅ……んっ……////』
『か…なめ…っ…』
キスをしようと体を起こそうとしたら…
胸に乗せた手を突っ張って やんわり拒まれてしまう。
『は…っ…動き…たいっ……』
『……………』
ああ、そう……
キスは拒むくせに…
エッチは出来んのか…
真っ黒だ……
心が真っ黒になる……
こんな自分は嫌だ…
嫌だけど…
どうしたらいいのか
分からない……
でも……
やっぱり……好きなんだ…
要…俺はお前が……好きなんだよ…
不覚にも涙が零れそうになる。
見下ろされる俺は無防備だ。
涙を溢す顔を見られたくなくて
要の腰を掴んで、力任せに押し倒して
枕に顔を埋 めた。
『あ…あは…っ…はげし…あぁっ……///』
上半身はぴったり くっつけて
腰だけを大きく深く、奥に打ちつけるように
動かすと 要は気持ち良さそうに鳴きながら
足を絡ませてくる。
イキそうな時の要の癖。
『ああん…っ…たか…ゆき……隆之ぃ……////』
『要…要…っ…』
このまま……
ずっとこうして…お前といたい…
ずっと…俺の傍にいて……
願うように、
祈るように…
泣き顔を見られるのも構わず
顔を上げて 要の唇を塞いだ。
『んっ─────ンうっ……っ……』
要の体がしなるように のけ反り
中が ビクビクと収縮した後、
ギュウッと締めつけられて
たまらず、欲望を要の胎内 にぶちまけた。
『…んふっ……んっ………やっ……』
絶頂の余韻に浸る間もなく、
要は大きく頭 を振って
無理矢理、キスをほどいてしまう。
『……………っ…』
エッチは出来ても…
キスは出来ないのか……
なんだ、それ……
なんなんだ…
お前は 一体 何がしたいんだ…
『かな…めっ……』
溜め込んできた黒い気持ちが 決壊して
ドロドロと溢れだし、悲しみから怒りへ
変わっていく。
『なんで……キス…拒むんだよ!
そんなに俺とすんの嫌なのかよっ!?』
『───────え?』
『それに“岡ちゃん”、“岡ちゃん”って!
俺がその名前 聞いて、どう思うのか
考えらんねぇのかよっ!てめーはっ!』
『───え?え?隆之…??どうした…』
『どうした、じゃねぇ!
とぼけやがって!言ってみろ!
俺が嫌いになったのか!?飽きたのか!?
言えっ!言ってみろ…よっっ!!』
言いながら、ボロボロと涙が零れる。
感情のまま、我を忘れて叫ぶ自分を
「なにやってんだ」と、もう1人の自分が
冷静に…そして、呆れて見ている。
分かってても1度 噴き出した気持ちを
止められなかった。
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