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第167話

「…さっきの、聞かないのか?」 「え?」 朝風呂で体を洗った後、2人は久しぶりにゆったりとした時間を過ごしていた。 玲緒はこの前購入した推理小説をソファで読んでいた。 すると後からきた唯は玲緒の膝に頭を置いて寝転んだ。俗に言う「膝枕」だ。 ちょっと気恥しいけど…。 「唯が話したくないことを無理やり聞くのは嫌だなぁって思って…話せる時がきたら話してくれればいいよ」 「…悪い」 「唯は悪いことしてないから、気にしないで!」 そう言って唯に笑顔を向けた。 唯は前に俺の笑顔が好きって言ってくれたことがあった。 俺の笑顔なんてあんまり価値はないものかもしれないけど、唯の心が少しでも落ち着けばいいな、と心の中で祈っていた。 「あ、そうだ…今日一緒にお祭り行かない?」 「…お祭り?」 「うん、ここら辺で毎年やるやつだよ!」 実はさっき翔に3人で行かない?とLINEのグループトークで誘われていた。 それを思い出して、唯と一緒に回れたらきっと楽しいだろうなぁと考えていた。 あ、でももしかしたら唯はお祭りとかたくさん人がいるから苦手だったりするのだろうか…。 「…嫌だったり、する?」 もし嫌だったらどうしよう…と不安に思いながら聞いてみた。 「嫌じゃない、行こう」 そしたら唯はくしゃくしゃと俺の髪を撫でて笑ってくれた。 「うん!ありがとう唯!…あ!」 そんな幸せな雰囲気で笑いあっていたら、昨日のお土産を渡すのを忘れていた。 「これ、あげる!…お、お揃い…嫌、かな…?」 勢いよくずんっとお土産を唯に渡した。 だけど後からヤクザでもある唯が可愛いものをお揃いになんてしたくもないか、と不安になってきた。 だけど唯は優しく微笑んでくれたんだ。 「いや、すごい嬉しいよ。ありがとうな」 「うん!」 キーホルダーは2人で携帯に付けることになった。 携帯に視線を向けると、可愛らしく微笑むペンギンに思わず俺まで頬が緩んだ。

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