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第168話 唯side

「午後、折原と的場が来る」 「折原さん、と…的場、さん」 的場の名前を聞いて明らかにテンションの下がった玲緒。 でもこれも玲緒のためにしたいと思ったから仕方の無いこと…だと思いたい。 的場には浴衣の着付けを頼んだ。 俺も折原もましてや八坂にも出来なかったけど的場はなぜか浴衣の着付けを習得していたのを覚えていた。 玲緒が嬉しそうに夏祭りに行くのを楽しみにしてくれていたのをみていたら俺まで少し楽しみになってきた。 どうせ行くなら浴衣を着せてやりたい。 的場を1人で来させるのは不安があったから折原も一緒に来るよう頼んだ。 お昼ご飯は、いつもより早めに作り始めた。 玲緒がエビフライを食べたいと言うのでエビフライとスープ、パンを用意しようと考えた。 作り始めると玲緒が「俺もやる!」と言って一緒につくることになった。 今日は二人分多く作るから忙しそうだなと思っていたけど、料理のできる玲緒が手伝ってくれるなら案外早く終わりそうだ。 「ね!こんな感じでいいかな?」 「あぁ、上手だな」 そう言うと嬉しそうにはにかんで笑う玲緒。 最高に可愛いと思う。 これは恋人だから…とかではなく一般的に。 あくまで一般的に、だ 料理は全て終わり片付けをしていると玄関の方で呼び鈴が鳴った。 それを聞いてソファで本を読んでいた玲緒がびくっと反応したのが見えた。 手を洗って玄関に行く前にソファに座っている玲緒の頭を撫でて優しく微笑んだ。 これで少しは緊張もとれるだろうか…。 そんなことを思いながら玄関のドアを開けた。

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