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第169話 唯side
「わざわざ来てもらって悪いな」
「ふふ、別に良いよ。」
「……邪魔だからさっさと退け!」
玄関先で的場はなかなか上に上がろうとせず、後ろにいた折原が的場を蹴った。
「もう手荒いな…!」
俺たち3人は中学の時からの付き合いで今もそれが続いている。
長く一緒にいる分、お互いのことを良く理解出来ていて良いところも悪いところも知り尽くしているほどだ。
「こんにちは玲緒くん」
「あ、折原さん!こんにちは!」
クッションに顔を埋めていた玲緒は折原が声をかけると顔を上げ、一気に頬を緩ませた。
しかし折原の後ろに続いてきた的場をみて、眉をひそめて警戒心を露わにした。
「やっぱり玲緒くん可愛いね」
的場はそんな玲緒をみて俺にしか聞こえない声で耳打ちをしてくる。
そう、的場は玲緒のことが気に入っているのだ。
「唯にくっついたら焼きもち焼いてくれるかな…」
「あんまり玲緒いじめんな」
「え〜別にいじめてるつもりないし〜あ、噂をすれば、玲緒くん」
そう言って的場はニコニコしながら俺にくっついて腰に手を回してきた。
…流石に少し気分が悪い。
本当はここで止めさせるべきなんだろうけど、焼きもちを焼いた玲緒…俺もちょっとみたい…
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