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第174話
「唯!あれ!みて!!!すごい!!!」
「あぁ、すごいな」
お祭りは結構たくさんの人で賑わっていて、色々な出店も出ていた。
よく見る定番のものからあまり見かけない珍しいものまで。
正直に言えばめちゃめちゃ興奮していた。
無地で紺色の浴衣に包まれた唯はいつもよりぐんっと大人っぽくて…色っぽい?っていうのかなぁ
とにかくすっごくかっこよくていつも以上にドキドキと胸の鼓動が早くなっていた。
「わぁ…飴細工、綺麗だね」
「ほんとだな…」
数ある出店の中でも飴細工のお店に興味を惹かれた。
動物や食べ物、植物などを象った綺麗な飴。
「……1つ買う」
そう言って黒い猫の飴を手にした。
今日は財布もってるし、お小遣いもある。
会計に並んでる間、嬉しくてその飴を眺めていた。
綺麗でずっと見ていても飽きないなぁ…
そういえば唯は…と思って周りをそわそわと見渡してみると、すぐ後ろにいて俺の持っていた飴をすーっと取り上げられた。
「あっ、なに?欲しいならまだあったから自分で…」
「いいから貸して」
そんなやり取りをしているうちに会計は俺の番になってしまい、唯はそのまま俺の飴を買ってしまった。
…俺が見つけた黒猫の飴だったのに…。
しょぼーんとしながらお店の端っこで唯を待っていると、トントンと肩を叩かれて振り返った。
「久しぶり逢坂くん!」
「あれ、高柳くん。こんなところで会うなんて偶然だね」
振り返ったさきには塾で教室が同じ高柳くんがいた。
高柳くんとは3月から塾で同じ授業を受けるようになって、仲良くなった。
身長は俺より少し高くて、唯にはかなり劣るがそれなりに整った容姿だと思う。
意外と気があって、塾の休憩時間にもよく話すような仲だった。
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