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第175話

「浴衣、似合うね!可愛いよ」 「ほんと?ありがとう!」 「うん!…良かったら一緒にまわらない?俺さっき友達と別れてさ…」 「うーん……一緒に来てる人がいるんだ。その人と回るから今回は遠慮させてもらうね」 そう言って苦笑いをして謝ると、高柳は俺の手を掴んできた。 「わ、ごめんね…人の波がすごくて…あの、さその人一緒でも良いよ?俺、気にしないし」 「でも、今日はその人と2人で回りたいんだ。せっかく誘ってくれたのにごめんね」 「玲緒!」 そう言ってやんわりと掴まれた手を解こうとすると彼とは逆側から強く手を引かれた。 「唯!…あ、じゃあ!またね高柳くん!」 「あ、う、うん」 高柳くんは少し戸惑った様子で笑顔を浮かべて俺に手を振ってくれた。 唯は手を繋いだままずんずんと歩いていき、ベンチがある場所に座らせてくれた。 「あ、そういえば……飴…買えたの?」 まだ少し悲しい気持ちを持ちながらそう言った 「あぁ、ちゃんと買えたよ。ほら」 目の前に黒い猫の飴細工がひょこっと出されてそれをじっとみていた。 「…なんだよこれ欲しかったんじゃねぇの?」 そしたら唯は不思議そうに俺の顔を見ながらそういった。 「え、これ俺の??」 「そう」 「え!嘘!ほんと?!俺の??!」 ほとんど興奮しながら唯にそう聞くと、唯は笑いながら「そうだよ」と頷いてくれた。 「やったぁ〜!!!!ありがとう唯!!!」

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