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第176話
「俺、唯が持ってっちゃったと思って悲しくなっちゃったんだ」と正直に話すと唯はすっごい笑ってた。
「美味しい…」
飴細工はすごく美味しくて甘かった。
綺麗な猫さんを舐めながら食べてしまうのは少し罪悪感があったけどね…。
「あ、ところでさっきのやつ誰だったんだ?」
唯はさきほど買ったという飲み物を飲みながらそんなことを聞いてきた。
「同じ塾で同じ学校の子だよ〜」
そう言うと唯は興味無さそうに「へぇ」としか言わなかった。
「唯、焼きそば食べたいから買ってくる!」
「俺も行く」
「え、唯は待ってていいよ!」
「いいよ、可愛い恋人に変な虫がついたら嫌だし」
不意にそんなことを言われて自分の体がぽっと赤くなるのを感じた。
「…なんか前より恥ずかしいこと言うようになったよね」
「………嫌?」
「う、嬉しい…けど……ドキドキする」
そう言って赤くなった顔をみせるのは恥ずかしかったから下を向いて差し出された唯の手をとった。
「ほんと……可愛いな…」
唯は何かをボソッと言って片手で目のあたりを押さえた。
「なに?なんて言ったの??」
俺に聞こえない声だったから尚更気になっちゃって、唯を問い詰めるようにそう聞くと髪をわしゃわしゃと撫でられて誤魔化されてしまった。
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