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第177話

「おいしい?」 「うん!」 あれから唯と一緒に、食べ物を売っている屋台を見て回った。 俺が最初に食べたいって言った焼きそばにいつの間にか唯が買ってきてくれていて、わたあめ、チョコバナナ、かき氷…他にも夏祭りの定番と謳われるような甘味が揃っていた。 「…おいしい!」 運営によって用意された簡易テーブルで唯がくれたかき氷を食べていた。 味はレモン。 いちごとかメロンも好きだけど、やっぱりレモンが1番好きだ。 「頭キンキンする…」 口を開けて空気を取り込む。 意味ないかもしれないけど、これで頭痛も早く治りそう…。 「治してやろうか?」 「え!唯これ治せるの?!」 唯にそんな特技があるとは思わなかったからすっごく驚いた。 そしたら唯は舌をぺろっと出して舐める仕草をした。 「………からかったな…」 「はは、嘘だよ、ごめん」 それはいつも長い方のキス……ディープキスと呼ばれるものをするときの仕草そっくりだった。 …ディープキスって言うのちょっと恥ずかしい 「玲緒、そろそろ花火の時間だよ」 唯がそう言うのとほぼ同時にヒューという音がして空に花火が打ち上げられた。 「わぁ………」 それはすごくすごく綺麗で、美しかった。 色々な色や形の花火がたくさんあって、思わず見入ってしまう。 するりと手が何かに触れたような気がして空の花火から目を離して自分の手元を見ると、唯の手と自分の手が重なっていた。 慌てて唯の方をちらりと見ると、ばちっと目があって余裕そうに微笑んでいる。 「…は、花火みなよ!」 じーっと見られるのが恥ずかしくなって焦りながらそう言った。

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