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第185話 唯side
*
「ゆい〜、すきだよ」
腕の中にすっぽりと収まっている玲緒。
まだ完全には眠たくはないようで、俺の髪の毛をくるくるしたりして遊んでいる。
幼くてあんなにも甘えん坊になる玲緒は初めてだったから新鮮だった。
人前でお酒は飲ませないようにしよう……。
そんなことを考えていると、玲緒はとろんとした表情で俺を見つめた後にちゅうっと肌を吸い上げてきた。
それは俗にいうキスマークというもので、今までは「見えるから付けないで!」と玲緒にきつく言われていた。
「どうした?」
玲緒からキスマークを付けてくるとは思っていなかったので、内心驚きながらも普段通りを装って聞いてみた。
「う、ん…れお、ゆいのことすき、だいすきなの…だけどね、ゆい、どっか…行っちゃう」
最初はえへへと照れ笑いをしながら言っていた玲緒だったが、後半になると涙を流し始めた。
えぐえぐと泣き続ける玲緒の手を握り、お互いの指に嵌っている指輪を確認させる。
「…どこにも行かない、約束するよ」
そう言うと涙を流すのをやめて今度はキスをせがんできたので、これでもかというほどにキスをしてやった。
「れお、しあわせなの…ゆいといっしょだから…でも…しあわせ、な、はず、…なのに、こわくなるんだよ……どこにも行かないって約束、したから…ね…?」
「あぁ、絶対守るよ」
それを聞いた玲緒は安心したように柔らかく微笑んだ。
まだ頬に涙のあとが残っていたのでそれを掬うように舐めると「おいぬさんだぁ」と笑われた。
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