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第188話
リビングのソファでご飯をつくってくれている唯をぼんやりと見つめていた。
時々俺の方を向いて目が合っては微笑んでくれる。
唯ってやっぱりかっこいいなぁ。
男の俺でも惚れ惚れするっていうか…
身長も高いし手足もスラッとしていて長い。
切れ長の目に綺麗に整った眉と唇。
髪の毛は綺麗な黒髪で触るとサラサラしてる。
黒髪美人って唯のためにあるような言葉だとすら錯覚するほどだ。
そんなことを思っているとだんだんと眠気が襲ってきた。そういえば頭痛も治まってきているから副作用だったりするのかな…。
少しだけ横になろうと体を倒すとすぐに睡魔に襲われて、俺は簡単に意識を手放した。
*
次に目を覚ましたのは数時間が経った後。
もこもこのブランケットがかけられていて、きっと唯がやってくれたんだと思うと思わず頬が緩んだ。
そして次に目に入ったのはラップがかけられたうどんとその横に添えられていた置き手紙。
丁寧な字で文字が記されていて、これが唯の字なのだと理解した。
『悪い、仕事で急用ができた。頭が痛かったらまだ休んでて良いから。うどんは温めてから食べろよ、何かあったら連絡な。』
大好きな唯からの手紙を読んでいるとトイレの水が流れる音がした。
…だ、誰もいないはずなのに…。
いいいいいや、も、もしかしたら唯が帰ってきたのかもしれないし!!!!!!!
ブランケットを頭を上まで引っ張って体を固くしてなるべく小さくなるように丸めた。
リビングのドアが開いて、誰かがリビングに入ってきた。
「ふんふん〜♪」
あ、人だ…良かった
いや、え…もしかして泥棒…?
入ってきた人物は呑気に鼻歌を歌っていて、ゲームか何かを始めたようだった。
あ、れ…この声…?
するっとブランケットをめくってそこにいる人物を確認する。
「あ!八坂さん!!!」
「あー!玲緒くん起きたの〜?」
テレビゲームのコントローラーを片手にジュースを飲んで笑顔の八坂さんがいた。
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