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第189話
「いや〜唯さんにね、玲緒くんが起きた時に一人だと可哀想だから見ててくれって頼まれたからさ〜」
八坂さんはコントローラーをススっと隠していたが、俺はばっちり見てた。
この人仕事中(?)にゲームしてた。
「そうなんですね、ありがとうございます」
そばにいてくれたのは本当なので、とりあえずお礼を言った。
「…あ、聞いたよ!人生初の二日酔いなんだって?あんまり飲みすぎちゃダメだよ〜」
八坂さんはケラケラと笑いながら俺の方に歩いてきて背中をバンバンと叩いてくる。
地味に痛いからやめてほしい…。
「…え、二日酔い?……え!?」
「そだよ〜、昨日お酒飲んで酔ってたって唯さんに聞いた〜!」
心の中で超が無限に付くほどに驚いた。
俺、飲酒してたの…?
「あ、あと唯さんからの伝言〜、明日出かけるから行きたいとこ決めとけ、だって〜!」
「…行きたいとこ…」
「い〜い〜な〜!デートってことでしょ!?俺もデートし〜た〜い〜!!」
え、デートなの?
そう思うとぽっと顔が熱くなった。
「え〜もう玲緒くんかわいい〜〜!!」
それを八坂さんは見逃さなかったようでツンツンと頬をつつかれた。
「もうっ!やめてください!!」
「あはは、ごめんね〜!で、どこにするの?」
八坂さんは俺の横に座って、再びゲームをプレイしながらそう聞いてきた。
ゲームしながら会話できるなんてこの人器用だなぁ…。
玲緒は何かをしながら他のことをするのは両方集中出来なくなってしまうから得意ではなかった。
「うーん………」
どこに行きたい、というものがあまり無いので思わず唸ってしまう…。
「俺だったらね〜!」
するとゲームをしていた八坂さんが瞳をキラキラと輝かせながらパッとこちらを向いて話し始めた。
「ベタだけど遊園地とか行ってみたいかも〜!大人になってから、男っていうのもあるけどあんまり行く機会ないからね…!あとはね〜」
そう言って八坂さんはたくさんの場所の名前を挙げながら話をしてくれた。
ここで、これをしたいとかあの場所であんな写真を撮りたい!とか…俺は聞いてるだけで楽しくて温かい気持ちになった。
八坂さんも可愛い気がする…。
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