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第194話

あの頃はすごい苦しくて辛かった。目の前が真っ暗な闇に包まれて何も見えなかった。 拓斗は頭が良かった。 だからせめてもの償い…じゃないけど、俺は拓斗の代わりに必死で勉強して本来ならあいつが行っていただろう大学に入学して、卒業した。 そんな生活から数年経って初めて玲緒と出会った時、俺の中で無心で喧嘩をしていた玲緒と拓斗が重なったんだ。 情けない話だけど俺はあの時を思い出してこわくなった。 でも、今度は絶対助けてみせる。 そう思って玲緒に声をかけた。 今でも拓斗の命日が近づくと夢に見る。 助けてって言ってる拓斗がこわくて酷い時は寝ずに夜を明かしたこともあった。 苦しくて、こわくて、辛くて。 自暴自棄になって酷い時期もあった。 そんな俺を助けてくれたのが呉羽組の親父だった。 組で過ごしていくうちにたくさんの人に出会って、心を休めることもできた。 折原や八坂、他の幹部たちには迷惑をかけることも少なくなかった。 だけどそれを許して、受け入れてくれた。 俺の周りにはそんな優しい人ばかりだった。 だから俺はここまで生きてこられたんだ。

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