197 / 337

第197話 唯side

「ん……」 目を覚ますとソファで横になって眠っていた。 キッチンでは玲緒が楽しそうに料理をしているのが見える。 …俺、いつの間にか寝てたのか さっきのことを思い出して、色々な想いが溢れてくる。 ちゃんと拓斗の話をしたのはこれで二度目。 一度目は俺を助けてくれた親父に。 俺が話している間、親父は何も言わずにただじっとして話を聞いてくれた。 話し終わると「そうか、苦しんだんだな」って頭を撫でてくれたっけ。 玲緒の言葉を聞いていたら、なぜか瞳からぽろぽろと涙が零れてきた。 それはどうやっても止まらなかった。 玲緒の言ってくれた言葉がすごく嬉しかった。 「あ、唯!起きたんだね、ごはん作ったから一緒に食べよう?」 頬をぷにぷにとつつかれて、横に視線を向けると玲緒がちょこんと膝立ちしていて俺の方をのぞき込んでいた。 「あぁ…ありがとな」 「うん!」 手を引かれながら体を起こして、玲緒の髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。 すると玲緒も気持ちよさそうに目を閉じて次の瞬間には、ぱっと笑顔になった。

ともだちにシェアしよう!