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第201話 唯side
一緒にお祭りに行った時、玲緒は始終笑顔で楽しそうにはしゃいでいた。
玲緒の屈託のない笑顔をみているうちに自分の中にあった黒いもやもやが少しだけ和らいだ気がした。
玲緒と一緒にいると心が嘘みたいに軽くなったように錯覚して楽になる。
そんな玲緒を見ていて、なぜだか話さないといけないような気がしたんだ。
本当はあまり話したくなかった。
幼馴染と玲緒が重なって、罪悪感から声をかけたようなものだった。
それを話してしまえば、玲緒は俺に不快感を抱き失望して離れていってしまう気さえした。
だけど話さなければいけないのだと、彼の笑顔をみていてそう思った。
正直、自分の過去を振り返り話すことはとてつもなく苦しく辛いことだった。
だけど玲緒も俺のことを心配そうに見ているのに気がつくと心配させられない、と平常通りを装うのに必死になっていた。
俺の中でこれほどまでに大きな存在となって、玲緒のために何かをしたい、悲しませたくない、喜ばせたい、俺だけのものにしたい…とたくさんの欲が出てきたのは初めてだった。
玲緒という存在が今の俺を生かしてくれている
こんなにも愛おしく感じるのは初めてだ。
ずっと触れ合っていたし、彼の体温を感じていたい。
「愛してる…」
きっともう寝てしまったであろう可愛い恋人の手の甲に小さいキスを落として俺も眠りについた。
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