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第203話

朝ごはんを食べて、歯磨きをして、髪を整えて…最後に支度をするのは服。 唯の隣にいても変じゃない服がいい…。 少し青がかかった、ゆったりした長めのTシャツに黒っぽいスキニーパンツを選んだ。 これなら少しだけ大人っぽく見えるかな…? 「ねえ唯、変じゃないかな?」 「…あぁ似合ってるよ」 そう言ってくるくると唯の前でまわってみると唯はぽんぽんと俺の頭を撫でた。 「あぁっ、ちゃんとセットしたのに!…今日は頭撫でるの禁止!」 「悪い悪い、でもこっちの方が玲緒らしくて好きだけど」 唯はきっと無自覚にそんなことを言っているのだろう。 ほかの人だったらイチコロだ。 俺はもうコロッとされてるけどね… 「じゃあいいけど……」 「そろそろ出るか?」 「うん」 唯は読んでいた本をテーブルに置いてから立ち上がった。 玄関の鍵を閉めて、エレベーターにのる。 今日は唯が運転する車で移動する。 唯が疲れないようにって電車とかバスでもいいよ、って言ったらそっちの方が周りに気を遣うから疲れるって断られた。 エスコートしてかっこいい所を見せるつもりだったんだけどなぁ……。 そんなことを思っているうちにマンションの下の階にある駐車場について、唯の車に乗り込んだ。 「シートベルトしたか?」 「したよ」 そう言うと唯は俺の方を見て、シートベルトがしてあるか確認する。 ちゃんとしてあるのを見ると「よし」と言って微笑んで、ゆっくりと車が動き出した。

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