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第205話
「すごい…綺麗だ………」
目の前にたくさん咲いているのは向日葵。
夏って感じの花で、植えてあればどこにでも見られるように思えるけどそんなことを感じさせないくらい惹き付けられた。
「8月の終わりなのにまだ咲いてるんだな」
「うん……!」
ここには色々な種類の植物があって、季節限定の植物ももちろんあったけど、ハウスなどで温度調整をされて普段なら見られない季節の植物もたくさん見ることが出来た。
「ねえ唯」
「あ?」
隣の花壇を座ってじーっと見つめている唯に近づいて声をかけた。
「楽しい?……あんまり喋らないから楽しくないのかなって…」
さっきから唯はぼーっとしてたり話しかけても空返事だったりした。
それを聞くとぱっと目を見開いてずんずんと俺の方へ歩いてきた。かと思えばぎゅうっと抱きしめられた。
少ないけど他にお客さんだっている。
ちょっとだけ恥ずかしくてトントンと唯の胸を叩いて、離してと訴えた。
「悪い、すごく楽しいよ…次はどこ行こうか」
そしたらそう言ったあとに離してくれて、代わりに手を繋がれた。
ちょっと強引だけど、そういうところも好きだったりするんだ。
「次はね…!」
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