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第207話

植物園の後に行ったのは服やアクセサリーを売っているお店屋さんだった。 唯はここによく来るようで店内にどこに何が配置されているとか、知り尽くしているように見えた。 店員さんとも挨拶をしたあと軽く話をしていたり……その会話を聞く限りお互いに顔見知りのようで店員さんには月宮さん、と名前で呼ばれてた。 値段もご立派なものばかり。 高校生で現在バイトもしていない俺にはちょっと高すぎる値段だと思う。 唯はさっきからアクセサリーのところをじーっと見ていて何かを探しに来てるのかな? そんなことを思いながら特にすることもなくて暇だったから、アクセサリーのピアスが陳列されている棚の前で買えもしないピアスたちを眺めていた。 やっぱり俺には少しだけお高い値段だ。 それにどうしても欲しいと思うものも特にないし、この先喉から手が出るほどにアクセサリーや服を欲しいと思うような物欲も出てくると思えない。 今は唯とお揃いの指輪と、唯が使ってたピアスがあれば十分すぎるくらい満足している。 ……ていうかピアスってこんなに小さいのにこんなにお金かかるものなの…? あんまり買わないから分からない……。 まじで定価…? でもこれすごく綺麗だ…。 胸の奥に少々疑問を抱きながらも俺の瞳に衝撃を与えて焼き付いたのは、リングみたいな輪っかに水色の石が何個か埋められているものだった。

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