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第213話 唯side
玲緒はしばらくするとスースーという規則的な寝息を立てながら気持ちよさそうに眠っていた。
そんな玲緒を隣で包み込むように抱きしめながら俺も寝ようと思っていた時だった。
♪〜
電子的な機械音が聞こえて枕元をみると、携帯に着信がきている。
こんな夜に電話をかけてくるなんて非常識なやつだな…誰だ?と訝しげに思いながらも玲緒を起こさないよう、寝室を抜け出した。
「もしもし?」
『もしもし…兄ちゃん?』
電話の向こう側から聞こえた声は実の弟、緋水 のものだった。
「どうかしたのか?」
心なしか声が上擦っていて、息も上がっている。
風邪でも引いたか?
『どうしよ、俺っ…俺…』
それから先を一向に話さず、ただ泣いている弟にいても立ってもいられず「すぐに行くから」と伝えて電話を切った。
急いで服を着て、財布と携帯、車の鍵を持ち家を後にした。
玲緒が眠っているからちゃんと鍵をするのを忘れずに。
早く帰れるだろうか。
玲緒が目を覚ました時には傍に居てあげたい。
そして「おはよう」って言って頭を撫でてやるんだ。
これから数時間後にくる朝のことを考えるとそれだけで頬が緩んでいた。
しかし、同時に弟がどうなっているのか心配でもあったし不安にもなるほど胸は嫌な鼓動を刻んでいた。
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