220 / 337
第220話 唯side
「ただいま」
なるべく小さな声で玄関に着くなりそう言った。
リビングに行く前に寝室を確認してから行くと毛布が乱雑に放置されていて、玲緒は起きたのだと分かった。
「玲緒?」
なんて謝ろう、そう考えながらリビングのドアを開けるとそこに玲緒の姿はなかった。
なんだ、もう行ったのか…なんて思っているとテーブルに1枚の紙が置いてあるのに気がついた。
『おはよう、玲緒です。
起きたら唯が居ないから驚いたよ!
お仕事かな?お疲れさまです。
今日から学校なので家に帰ります。
泊めてくれてありがとう。』
それを読んで胸の奥がチクリと痛くなった。
玲緒は俺が仕事で出かけたのだと思ったらしく、手紙の横にはおにぎりが2つラップにかけられていた。
朝の時間がない中でこれを俺のために作ってくれたんだ。
仕事に行ったと思っている玲緒が本当のことを知ったらどう思うんだろう。
汚いと思われてしまうのだろうか。
弟が危ない奴らに引っかからないように守ったつもりになっていたけど、それは事実的に玲緒を苦しめてしまうものだ。
俺は間違ったのか、?
ともだちにシェアしよう!