221 / 337
第221話
「ふぁ…」
欠伸を噛み殺しきれないまま、久々に訪れた学校の校門をくぐる。
今日はいつもより早起きをした自信がある。
*
朝起きると、隣に唯は居なかった。
唯が寝てたところを触ってみても温もりを感じることは出来なかったからだいぶ前に家を出たんだな、と理解した。
「急に仕事になっちゃったのかな、最近ずっと家にいたし……」
これから帰ってくるだろう彼のために、簡単に作れるおにぎりを作って机に手紙を添えて置いた。
「いってきます」
*
「おはよー、玲緒!」
「おはよう翔」
教室に着く少し前に翔と合流した。
翔は夏休みにあった出来事を一気に話し始めて脳内では整理しきれず、様々な話が交差する。
「そんな一気に喋んな。ちゃんと全部聞いてやるから」
そんなことを思っていると俺たちの上から声が振ってきて上を向くと夏樹がいた。
「わー!夏樹だ!久しぶり〜てか黒!」
確かに翔の言った通り夏樹は夏休み前よりも随分と日に焼けた気がする。
「泳ぎすぎたわ」なんて言いながら笑いあってる2人を見てるといつの間にか俺も楽しくなっていた。
ともだちにシェアしよう!