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第222話
「逢坂くんおはよう」
後ろからぽんと肩に手を置かれて2人以外の人から挨拶をされたことに若干驚きながら振り返った。
「あ、高柳くん」
そこには塾で同じ教室の高柳くんがいた。
それに気がついて俺も笑顔で挨拶を返す。
この前も少し紹介したっけ、高柳くんとはクラスは違うけど、塾で同じ教室になってそこから仲良くなった。
最初は睨まれているようなギラギラとした強い視線が怖くて苦手だと感じることもあったけど今ではそんなことは全く感じなかった。
「今日持っていく課題って何ページだっけ?忘れちゃってさ…悪いけど教えて!」
「あぁ、いいよ」
何をしに来たのかと思えばそういうことか。
リュックの中から塾のテキストを取り出してそれを渡した。
「良かったらこれ使って!塾で返してくれればいいから」
「わ、……ありがとう逢坂くん!」
「うん!」
学校が終わると家には帰らずそのまま塾へ向かう。だから塾で使うテキストも学校に持ってきているのだ。
「ねぇ玲緒〜最近やけに高柳と仲良しだね?」
「まぁ、同じ教室だからね」
翔は高柳くんが去ったあと、そう言いながら俺の机にべたーっと突っ伏した。
「今週の水曜日は俺たちと遊ぶ約束!忘れてないよね?」
「忘れてないよ、好実 ちゃんの誕生日プレゼント買いに行くんだったけ」
「そうそう!」
翔には中学1年生の可愛らしい妹がいる。
名前は好実ちゃん。
キラキラ、ふわふわ、可愛いものが大好きな子でとても良い子だと思う。
そして水曜日は午後から休み。
その日は夏樹も呼んで誕生日プレゼントを探しがてら遊ぶ約束をしていたのだ。
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