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第230話
「玲緒兄おはよぉ…」
朝食の準備をしていると、まだ寝巻き姿の葉月が欠伸をしながら起きてきた。
「おはよう、顔洗って着替えておいで」
「ん〜」
そう促すように優しく言うと葉月は分かったように洗面所の方へ歩いていった。
さっさと並べちゃおう。
玲緒は既に作り上げた朝食を二人分、テーブルに運んだ。
全て運び終えると葉月も丁度リビングに戻ってきて椅子に座った。
「いただきます」
2人の声が綺麗に重なり手を合わせる。
今まではなかった習慣に少し照れくさくなってしまう時もある。
「おいしい…」
「葉月のために甘くしたもん」
葉月は卵焼きを食べながら頬を緩ませていた。
そんな顔を見れるのが今の玲緒にとってはとても嬉しかった。
*
「じゃあね」
「はーい」
2人は毎朝学校まで一緒に登校する。
最初は何を話したらいいのか分からなくて緊張ばかりしていたが、別に話さなくても良いのだと思い直すと少し気が軽くなった。
それから正面玄関で別れてそれぞれの教室へ行く。
階段を登って階を上がる、そして自分の教室の前まで来ると元気な声が聞こえてきた。
今日も1日、がんばろ。
そう思い教室の扉を開け、歩き出した。
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