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第231話

「れーおっ!やっと今日だよ!」 教室に着くなり俺の腰に抱きついてきたのは翔。 いつにも増して元気が有り余っている気がするのは気の所為かな…。 翔のテンションがこんなに高いのは今日が水曜日、つまり出かけるのを約束していた日だからだろう。 「分かってるよ、ほら授業始まる」 そう言って苦笑いしながら時計を示すと、しょうはぷぅっと頬をふくらませながら自分の席に戻っていった。 ……夏樹は今日遅刻かなぁ *** 「2人ともはやく!」 「はいはい」 学校帰り、久しぶりにショッピングモールへと足を運んだ。 夏樹は案の定遅刻で3時間目からやってきた。 少し気だるそうだがいつものことだ。 翔の呼びかけにも無視せず返事をしていて偉いと思う。 「玲緒も早く来い、おいてくぞ」 「ふふ、分かったよ」 「…なに笑ってんだよ……」 夏樹はいつもより少しだけ機嫌が良い、普段なら俺が夏樹を笑えば睨んでくるのに今日は心底不思議そうな顔をしていて可笑しい。 「なんでもない、思い出し笑い」 そう言うと夏樹は「なんだそれ」と言いながら翔に手をぐいっと引かれて転びそうになっていた。

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