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第233話 唯side
「はい?」
「だからさ、呼んでよ玲緒くん」
ニコリとした笑顔のままそう言い放つ若。
それにしても急すぎじゃないか?
玲緒には玲緒の都合だってあるだろうし。
「はい、電話かけて」
若はそんな風に考えを巡らせている俺に携帯を渡して電話の催促をしてきた。
そういえば朝に電話がかかってきていたが出られなくて着信履歴に残っていた。
………会える口実にはなるかもしれない。
そう思うと少しだけ嬉しく思う気持ちが胸に広がっていた。
プルルル…プルルル……
無機質なコール音が鳴り響き5コール目に通話が繋がった。
「もしもし、今ちょっと大丈夫か?」
『あ〜うん…大丈夫だよ』
電話の向こう側はざわざわと落ち着きがない様子で、どこかに出かけているらしい。
「朝は悪かった、何か用事だったか?」
「大丈夫だよ〜ただ…間違えちゃっただけ!俺の方こそごめんね」
朝の着信はただの間違いだったのか。
それを聞くと心のどこかで少しがっかりした自分がいた。
まぁ、朝早かったしな…大方寝ぼけていたんだろう。
でも間違いと言ってもそんな早朝に誰に電話をかけるつもりだったのだろう。なんて不思議に思ったりもしてしまう。
「今どこにいる?」
「ショッピングモールだよ〜」
なるほど、通りで騒がしいわけだ。
…玲緒は友達と来ていたりするのだろうか。
「今から本家に来るのは難しい、か?」
『う〜ん、友達と約束しててちょっと無理かも…ごめんなさい』
心のずーっと奥の方で、『何よりもきっと優先してくれるだろう』と少しだけ思っていた自分がいた。
そして少しだけ今、玲緒と一緒にいる人に焼きもちを焼いている…気がする。
「大丈夫だよ、悪かった」
通話終了ボタンをタップしてから若に向き直る。
「今日は用事があるから無理だそうです」
「えぇ〜〜」
誰と一緒にいるのだろう。
こんなことを考えるのは面倒な奴、とか言われそうだけど…俺より優先しなければいけない相手なのか?
「いいこと思いついちゃった〜」
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