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第234話 唯side
「唯」
「はい…?」
後ろで未だに騒いでいる若を無視していたら突然仕事の邪魔をしてくる若。
仕方なく返事をすると爽やかな笑みで返される。
「俺、いいこと思いついた」
「はぁ…さっきも聞きました」
「気にならない?」
正直に言えば全くもって気にならないし、一刻も早く仕事を終わらせて家に帰りたい。
「あぁ…まぁ、はい」
そんな曖昧な返事をしても若はニコニコと微笑むだけ。
「玲緒くんを尾行し隊」
「…尾行、ですか」
「玲緒くんが唯以外の人を優先してまで一緒にいるのが誰かって気にならない?」
それは気になるといえば気になるし知りたいと思う、けど尾行までしていいものなのだろうか。
「じゃあ俺だけで行こうかな、唯はちゃんとお留守番しててね」
なかなか返事をしない俺に若は少し拗ねたようにそう言った。
……若ってこんな子供っぽかったっけ?
もっとクールでスマートなイメージが強いんだけど。
「俺も行きます、若を1人で生かせると折原が怖いんで」
「ふふ、じゃあ護衛も兼ねてよろしくね」
そんな若の突拍子のない思いつきから、俺は玲緒を追跡して尾行するためショッピングモールへと車を走らせた。
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