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第240話
「夏樹〜それ一口ちょうだい〜」
「ん」
翔が夏樹にオレンジジュースが欲しいとせがむと夏樹が携帯をいじりながら、ずいっとグラスを前に出した。
「やった〜!……おいしい」
翔が美味しそうに飲んでるのをみると俺も飲みたくなってきた。
俺にもちょうだい、といってみると翔がグラスを回してくれた。
「…普通のオレンジジュースだった」
「当たり前だろ」
夏樹にグラスを返すとそんなことを言われてそれもそうだな、と一人納得する。
「あれ、あそこ…ぐほっ!」
翔がいきなり立ち上がって何かを言おうとすると夏樹が口元を手で覆ってそれを止めた。
「?どうしたの?」
「なんでもねえよ、翔がジュース飲みすぎてトイレ行きたいなったって言ってるからちょっと連れてくわ」
翔の口は塞がれたまま、夏樹は強引に翔を引きずっていった。翔はなにか言いたそうにしていたが俺には読み取ることが出来なかった。
「逢坂くんはさ、好きな人とかいるの?」
突然ぼーっと眺めていた視界に高柳くんが入ってきて俺の顔をのぞき込んでいた。
「うん、まあ…ね」
「そうなんだ」
ここで、誰?とかどんな人?とか…そういう風に聞かれていたらなんて答えたらいいのか悩むのだろうけど、好きな人がいるという質問には答えられる。
「高柳くんは?」
「気になってる子はいるけど、好きとは少し違うかな」
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