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第241話

好きとは違う、その答え方を不思議に思ってぐるぐると頭の中で考えている俺をみて高柳くんは、ふふっと微笑んだ。 「なんていうか、見ていられるだけで幸せになれるっていうの……伝わるかな?」 それなら、なんとなくだけど分かるかもしれない。 唯と話していなくても、仕事をしているところや料理をしているところ、眠っている姿をみると幸せな気持ちになってどうしようもない時がある。 そういうこと、なのかな? 「うん、なんとなくだけど分かるよ」 「良かった。最近はその子と上手くいってるんだ、だから俺も毎日楽しくてさ」 「上手くいくといいね」 高柳くんとそんな話をしていると翔と夏樹が戻ってきて、2人それぞれの席に戻った。 「玲緒には内緒、ね」 「あぁ、頼んだぞ」 2人は何やら話をしていたみたいで、席に座る直前までこそこそと耳打ちをしあっていた。 当然それが俺たちにまで聞こえることはなくて何を言ってるのかさっぱり分からない。 夏樹は疲れたようだが、翔は真逆に楽しそうにニコニコしていた。 「どうかしたの?」 「別になんでもないよ〜!」 高柳くんもさっきと様子が違うことに気がついたのか、2人にそう聞くと翔がクスクスと笑いながらそういった。 何が面白いことでもあったのだろうか? まあ、翔が楽しそうにしているから良いか。 そんなことを思いながらグラスに残っていたジュースを全て喉に流し込んだ。

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