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第242話 唯side

「唯より優先するのは友達だったのか〜」 「そうですね」 遠くから玲緒を見つめること数十分。 夏樹くんに俺達が来てることは秘密にしてくれと頼んでおいた。 会いたいものは会いたいけれど、今日は無理と言われたのに会いに行くなんて嫌われてしまうかもしれないと思ったからだ。 「幸せそうな顔ー」 「そうでもない、ですよ」 玲緒を見ていると弟の緋水のことを思い出す。 あれから既に2回、体を重ねた。 強制されているわけでは無いのに断ることができない。 唯が断ってしまえばきっともう緋水は戻ってこない。 たくさんの人に体を預け名前を呼ばれ奥の奥までさらけ出す。 中には悪いやつもいるかもしれない。 そう思うとゾッとしてこわくなった。 それがただ一つの断れない理由だった。 しかし弟のためには良くても玲緒には良くないことで、酷く傷つけてしまうことだと理解していた。 どちらも唯にとって大切な人で、選ぶなんてことはしたくない。 「もっと楽に生きよう、唯には特にそれが必要だよ」 そんな唯の心を見透かしたかのように柊多は声をかけていた。 「俺なんて喧嘩出来ないのに組の若頭だよ、喧嘩は唯とか折原それに……八坂もいたね、皆に任せっきりだし」 「それは……」 柊多は喧嘩が苦手でできなかった。 だけど、頭脳では組の中でも1番で右に出る者はいない。 「そう、俺は苦手なことはみんなに任せてるの。だから唯も誰かに任せちゃえばいいんだよ」 「誰かに………」 その誰か、が見つかれば…。

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