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第246話

「玲緒くん俺のこと覚えてる?」 「あ、はい!覚えてます」 柊多さんにそう言われて本家の廊下で八坂さんと一緒に会ったことを思い出す。 「やっぱり玲緒くん可愛い、今日観察に来て良かった」 そんなことを言いながら柊多さんはニコッと俺に笑いかけてくる。 ていうか観察?? え、俺観察されてたの??! 驚いて唯の方へ向き直ると唯は申し訳なさそうに口パクで「ごめん」と謝っていた ………俺、何か変なことしなかったかな…。 「俺はこのあと寄らなきゃ行けないところがあるからタクシーで帰るよ」 「送ります」 「いいから。……それにおじゃま虫になるのは嫌だしね」 そう言って柊多さんは俺に向かってウィンクを決めた。 * 帰るために家に向かっている途中、窓越しに映る景色をぼーっと眺めていた。 「今日一緒にいたの誰?始めてみる子だった」 「あー高柳くんかなぁ」 信号が赤になり、車が止まる。 そう言うと唯は少しつまらなさそうに「へぇ」と頷くだけだった。 「俺ももう少し後で生まれたかった」 少し切ないその声に気が付いて横を見る。 だけどそこに居たのは悲しそうな表情をした唯じゃなくて苦笑いを浮かべた唯だった。 「唯と出会えただけで嬉しいよ」 信号は青になり、喜んでいるような表情の唯に信号変わったよ、と言えば車はゆっくりと発進した。

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