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第247話

「ありがとう」 「ん、今日は疲れてるだろうから早く寝な」 「わかった、唯もね」 「あぁ」 車から降りて手を振ると唯も車の中で片手をあげて応えてくれた。 週末には唯の家に行ってもっと触れ合いたいなぁ…キスしてほしいし、抱っこもしてほしい。 そんなことを考えながら家に入った。 * 「にぃちゃんおかえり」 「…帰ってなかったのか」 「俺、帰ってたほうが嬉しかった?」 「あ、いや…そうじゃないんだ」 家に帰れば服を乱したままの弟が、朝と同じ状態のまま部屋にいた。 この様子だと学校には行ってないだろう。 「学校はどうした?」 「行かなかったよ、だってつまらないもん」 部屋の片付けをしよう、とゴミ袋を片手にゴミを入れていると緋水が後ろから抱きついてきた。 「にいちゃん〜」 「あ?」 「良い匂いする〜〜」 そう言って背中に頬をすり寄せる緋水。 この関係はいけないものだと分かっていても弟だから突き放すことが出来ない。 どうにかしたくても、どうしようもできないことに歯がゆさが増す。 「今日はまだ仕事残ってるから構ってやれないよ、早く帰りな」 「えぇ〜、まだ仕事あるの〜」 「仕方ないだろ…ほら」 そう言って緋水の荷物を片付けて、帰るように促すとようやく帰る気になったのか服を整え荷物を受け取った。 「お邪魔しました〜……ありがと、兄ちゃん」

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