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第255話

「そろそろご飯にしようか、作るから待っててな」 12時を過ぎた頃、2人でテレビを見ながらだらだらしていると唯がそう言った。 「うん!……じゃあ俺、洗濯物たたんでるよ」 「忘れてた…頼む」 視界の端に映った洗濯物の山に気が付いて、そう提案すると唯は申し訳なさそうに謝ってきたので、大丈夫だよと言った。 「何か食べたいものある?」 「うーん特にないかなぁ」 (珍しい色だなぁ……) 手に取ってたたんだのは薄いピンク色のシャツ。 唯もこういう色のシャツ着るんだなぁ、と心の中で少しだけ驚く。 …あれ、でもこれ唯が着るサイズが違う? え、なに…どういうこと? 手元にある薄いピンク色のシャツのサイズはいつも唯が来ているものより少し小さくて唯のもとだとは思えなかった。 忙しいって言ってたけど、違う理由? そういえば部屋はいつもより散らかってるいるし買ってあったお菓子も唯が普段食べるような物では無さそうだった。 浮気、してる? 待って…どうしよう…分からない。 玲緒を急かしているものは無い筈なのに頭の中で「待って」と言ってしまう。 何に待って欲しいのか自分でもわからない。 どういうこと? 焦りと不安が玲緒の心を支配する。 背中がじとっと湿り、汗をかいたのを感じた。 と、とりあえず様子をみてみよう。 まず他の部屋をまわって、真実に繋がる手がかりになりそうなものを探してみよう。 胸の奥がもやもやと気持ち悪かった。

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