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第264話

「あ…?」 目が覚めると目を開けているはずなのに何も見えなくて暗闇に包まれたままだった。 近くのものを探してみてもよく分からない。 …ていうか腕も縛られてる…? 手首から先が少しだけ動くくらいで紐のようなもので固定されているようだった。 「起きたかな?」 「高柳、くん?」 「うん、あってる。目が見えなくて不便だと思うからあんまり暴れない方が良いよ」 そう言って柔らかい手らしいものに頭を撫でられた。 「髪の毛、サラサラだね。前から触ってみたいと思ってたんだ」 それがやっと叶った。なんて言いながら高柳くんの足音は遠くなっていく。 そしてまた近づいてくる足音。 俺は今なにをされてるんだ? ここはどこ? なんでこんなことになってるの? と、考えれば考えるほどたくさんの疑問が浮かび上がってくる。 「どういう、こと…俺、分からないよ…」 なんて聞いたら良いのかすら分からずに思ったことをそのまま声にした。 高柳くんは何かをしているようだったけど目が見えないので分からなかった。 「うーん、何から説明したら良いかなぁ」 そう言って楽しそうに声を弾ませる高柳くんとは反対に俺はもしかして、と予想した事態に気持ちをずんずんと重くしていた。 再び髪の毛を梳くように頭を撫でられて少しだけ体がぴくっと反応した。 「俺ね逢坂くんのことが好きだったんだよ」

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