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第269話
「っ、ちゃんと受け止めてね」
「んぅっ、んっぐっ!」
頭をがっしりと押さえられて離れたくても離れられなかった。
荒い息遣いから絶頂が近づいているのは薄々気が付いていた。
口の中に温かい液体が放り出されて、彼のモノがずるずると出ていく。
「うぇっ」
それと同時に近くにあったゴミ箱を手繰り寄せ口の中にあるソレを吐き出した。
気持ち、悪い。
…まずいし汚い、嫌だ。
唯のならそんなこと思わないのに。
当たり前だけど高柳くんのはダメなんだ。
満足そうに微笑んでいる彼を置いて洗面所に走った。
そして手をかざして水を掬う。
納得いくまで口をゆすいで、タオルで拭くと再び涙が出てきた。
「そんなに泣かないでよ」
「ひっぐ…うっ…………」
「次も俺と遊んでくれるよね?」
そう言って差し出されたのは俺が写っている携帯のディスプレイ。
「も、やだっ…やだよっ」
「じゃあこの写真どうしよう…例えばさ逢坂くんが受験する学校の先生にみてもらう?」
「っ………」
「こんなにエッチな子は入学させられないって言われちゃうかもね」
「やだっ、お願い…やめて」
「じゃあ次は来週…かな、まあ学校も同じだしやろうと思えばいつでもできるか」
それに加えて、安心してバックアップ取ったりしないし誰かに送る気もないから。と彼は笑う。
だけどそれを信じきることはできない。
どうしたら良いのか分からない。
唯に相談して良いのか?
でも唯は新しい恋人さんがいるかもしれない。
まだ正確には別れたわけじゃないけど、なんだか少し言うのがこわいし勇気が出ない。
「今日はこれで最後だから」
そう言って高柳くんは俺の体に口をつけて強く吸い上げる。
…キスマーク、あんまり好きじゃないのに。
自分の体についた数個の赤い印。
汚くて気持ち悪い。
「送っていくよ」
「……いらない」
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