271 / 337

第271話

「それにしても涼しくなったよね〜」 「…そう、ですね」 俺が連絡したのは八坂さん。 八坂さんはすぐに駅まで迎えに来てくれて、笑顔で嫌な顔一つしなかった。 「やっぱり何かあったでしょ、それに泣いた?目もすこーしだけ赤くなってる」 「…………俺、色々分かんなくなっちゃって。誰に相談したら良いのかとかこれからどうしたら良いのか、とか」 突然連絡しちゃってすみません、と謝るとむしろ連絡してくれたのが嬉しい!とまた笑顔を向けてくれた。 「うーん……俺も玲緒くんが抱えてることは分からないけどさ、大人って意外と使えるもんだから利用しちゃえばいいんだよ」 丁度ここに使いやすそうな大人がいるしね、と冗談っぽく言う彼につられて俺も笑う。 やっぱりこの人に連絡してよかった。 「家に着いてからゆっくり聞かせて、俺ばかだから力にならないかもしれないけど」 「八坂さんはばかなんかじゃないですよ」 「え、ほんと?そんなこと言ってくれたら調子乗っちゃうよ〜〜」 それから数分が経って八坂さんが住んでいるマンションに着いた。 部屋には前に話していた飛鳥さんという人もいるらしいけど、部屋から追い出すから大丈夫!と言ってくれた。 ……こんな気分が落ち込んでる形で初対面っていうのもなんだか嫌だけど仕方ないよね。 「おじゃまします…」 「ただいま〜」 「いらっしゃい、おかえり」 俺たち2人を出迎えてくれたのは身長が高くてめっちゃめちゃ爽やかなイケメンだった。 「じゃあとりあえずリビングに行こっか」 八坂さんのその言葉に頷いて俺たちはリビングに向かった。

ともだちにシェアしよう!