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第273話
「飛鳥と二人きりでも大丈夫?」
それは先程まで高柳くんに散々嫌な思いをさせられたから、心配してくれている八坂さんなりの気遣いだったのだろう。
「絶対手は出させないし、玲緒くんには触らせない!飛鳥聞き上手だから少しは話出来ると思うよ」
確かに飛鳥さんなら八坂さんの恋人さんだし不安はあまり無い。
「大丈夫です、迷惑…かけてすみません」
「俺たち迷惑なんて思ってないよ!」
俺が2人に謝ると八坂さんが慌ててそれを止めてきた。
そしてブランケットごと優しく抱きしめられた。
ふわりとせっけんとかそういう系の柔軟剤の良い匂いがして心地が良い。
「玲緒くんが俺を頼ってくれてめちゃくちゃ嬉しい、だってそれって俺のことを信頼してくれてるからでしょ?」
その言葉に素直に頷いた。
「だからね俺は玲緒くんの力になりたいし、今回みたいに玲緒くんが嫌な思いしたなら俺は色々言いたくなっちゃうんだよ」
そう言いながら俺の髪を撫でて落ち着かせようとしてくれた。
だけど俺は八坂さんの言葉を聞いてるうちに止まり始めていた涙がまた流れ出した。
「とりあえず唯さんのところに行ってくるね。玲緒くんのことはちゃんと守るから」
飛鳥よろしくね、と八坂さんは言って飛鳥さんは分かったよ、と短く返事をして上着を渡していた。
「じゃあ行ってくるね」
「気をつけてな」
「…行って、らしゃい」
俺が小さくそう言うと八坂さんは1番の笑顔を向けて家を出ていった。
「リビングに戻ろうか、お腹減ってない?」
「お腹……減った」
飛鳥さんにそう言われて今まで気が付かなかったけど俺お腹減ってる…。
「何か食べたいものとかある?」
「…特にないです」
「じゃあ適当に作っちゃうね」
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