277 / 337

第277話 憂聖side

「………ごめん、俺が冷静になれないや…。今日は一旦帰るね」 「……玲緒に、会わせてほしい」 「…分からないよ俺が判断できることじゃないし」 唯さんは何を思ってるんだろう。 いつもより暗い表情をしている気がして、言い方が悪かったかなって思ったけど俺だって必死だし、むかつくことはむかつく。 それに玲緒くんを守るって約束したもん。 「頼む」 唯さんがそんな風に言うのは初めてだった。 組一優しくていつでも相談に乗ってくれるような唯さんがこんなにも苦しそうに言うってことは玲緒くんを大切にしてる…ってことで良いの? 「…分かった、聞いてみる」 それからすぐに飛鳥に電話をかけて玲緒くんに変わってもらった。 「俺だよ、飛鳥に何もされなかった?大丈夫?」 『大丈夫です、何もされてないですよ!』 「良かったぁ〜………あのさ、今ね唯さんと話をしたんだ」 『………はい』 「唯さんは会いたいって言ってるんだけど玲緒くんの気持ちはどうかな?」 『……分からない、考えたく、ない』 明らかに落ちた声のトーン。 元気がなくなった。 「そっか、分かった。…じゃあもう少ししたら帰るね」 『…はい、すみません』 電話を切って少し離れた場所にいた唯の元へ歩み寄った。 「玲緒くん、分からない、考えたくないって言ってた。だから今日は無理…でも、この問題を解決するためには唯さんが必要になるから二人で話をしなきゃいけない」 「分かってる…」 「家に帰って玲緒くんと話してみる。また連絡するから」 「頼んだ、…ありがとな八坂」 「別に、言っておくけど俺はまだ怒ってるし、これは唯さんのためじゃない」

ともだちにシェアしよう!