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第278話

「ただいま〜!」 八坂さんと電話で話してからしばらく経つと、玄関から明るい声が聞こえてきた。 「おかえり、なさい…」 「おかえり憂聖」 「ただいま!飛鳥、玲緒くんに何もしてないよね?」 「してないよ、ずっと話してたもんね」 「は、はい…楽しかったです」 飛鳥さんと話をするのはだいぶ楽で同時に楽しくもあった。 普段の八坂さんの話や好きな本や音楽の話。 俺から話さなくても飛鳥さんが積極的に話をしてくれて、聞いているのが楽しかった。 「良かった〜!あ、そういえばアイス買ってきたから食べよ!」 そう言って八坂さんは持っていたレジ袋から3つのアイスを取り出した。 バニラ味とチョコレート味とソーダ味。 「玲緒くんからどうぞ〜」 そう言われてじゃあ、と俺はチョコレート味を選んだ。 八坂さんはバニラ味で飛鳥さんはソーダ味。 ひんやりしてて美味しい……。 「玲緒くん今日泊まってく?…てか泊まっていきな色々大変だろうし」 「あ、いや…そこまでは」 「いーからいーから!ね、飛鳥もそれで良いよね?」 「もちろん」 「じゃあ決まり〜!!」 半ば強引に決められたお泊まりだったけど、実は言うと、ほっとしていた。 このまま家に帰るつもりは無くて、ビジネスホテルでも取ろうと思っていた。 葉月に会うなら気分を無理やり切り変えなきゃいけなくて、心配なんてさせたくなかった。 もしかしたら強く当たってしまうかもしれなかったし正直こわかった。 「八坂さん、ありがとう…っ」 「いえいえ、ゆっくりしていってね」

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