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第287話

「話してくれてありがとう、…愛してるよ」 そう言って泣いて腫れてしまった目元を痛くないように優しく撫でてキスをした。 また、目の下にはクマがあって昨日八坂の家ではあまり眠れなかったんだと推測する。 「少し昼寝でもしようか」 「…うん」 玲緒は心も体も疲れているはずだ。 それを少しでも回復させてたげたいなんて思いながら玲緒を抱き上げて寝室まで運んだ。 ベッドに寝転ばせるように寝かせて薄い毛布をかけてやると、「隣にいて」と言って俺の腕をぐいぐいと引っ張った。 だから俺も玲緒の隣に寝ころんで玲緒が眠くなるようにゆっくりトントンをした。 「…眠れるかな…」 「もう眠い時の目してる。大丈夫だよ」 口調がゆったりとして体がぽかぽかと温かくなっていくのを隣で感じる。 そっと頭を撫でて髪を梳かすとサラサラと指を通りすぎていった。 隣の玲緒はもうスースーと寝息を立てていて、とても可愛い。 「おやすみ、玲緒」 ** 「悪いな、ありがとう八坂」 「俺は玲緒くんのためにやったの、お礼なんていらないよ。……それより玲緒くんはどうなの」 「少し落ち着いて今は寝てる………学校に行かせてやりたいけどその同級生のこともあるからどうするかちょっと悩んでる…」 そう言って八坂の意見も聞こうとすると、八坂は少しだけ顔を顰めて怒っている顔になった。 「玲緒くんが安心して学校に行けるようにしてよ、その高柳っていうやつ、大学受験潰すだけじゃ生ぬるいからね」 「…あぁ」 大学受験、その言葉を聞いて思い出した。 玲緒の試験日は近いんじゃないか……? 心に傷を負った今の状態で試験なんて受けられるのだろうか。 「とにかく、俺がここまで調べあげたんだからちゃんと最後までやり遂げて」 八坂から書類の入ったファイルを受け取りその言葉に頷いた。

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