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第289話

「っ……」 寝室で眠っている玲緒はさっきの安心したような表情ではなく、険しく辛そうな表情で汗をかいていた。 こわい夢をみているのだろうか。 出来れば高柳の出てきてこない夢をみて、幸せな気持ちで眠ってほしい。 抱きしめて、安心させたい。 「玲緒……」 愛しくて仕方ない玲緒の体に手を伸ばし、その存在を確認する。 「ごめん………」 本当は触れる資格すら持ち合わせていない俺が玲緒のそばに居ても迷惑じゃないか、と逃げ出してしまいたくなる。 だけど今は逃げ出したいとか言ってる場合じゃなくて玲緒を助けたい、救いたいの一心だった。 「少し借りるよ」 ベッドの隣のチェストの上に置かれた玲緒の携帯を手に取り、画面を立ちあげる。 すでに数件を超える高柳からのLINEが来ていてこのメッセージを携帯ごとゴミ箱に捨ててしまいたいと強く思ったが、その気持ちはなんとか抑えた。 『明日、会ってほしい』 そう言って時間と場所を指定して携帯の電源ごと落とした。 玲緒が言ったと思えばきっとあいつは来るだろう。 唯は本人から聞かなくても高柳は玲緒のことが好きなのだと容易く理解した。 明日、玲緒は一人で待っていられるだろうか。 少し過保護になりすぎているか? …まあいいだろう。組に連れて行って預けておこう。 もし一人で大丈夫、と言っても唯の方は心配で心配で仕方ないのだ。 それくらいはしても良い…よな。 「大丈夫だからな……」

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