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第294話 唯side
「……言うつもり無かったけどお前俺の仕事知ってるか?」
そう言えば高柳は嘲笑うように「どうせサラリーマンとか年収の低い仕事してんだろ」と馬鹿にした。
これで高柳が俺を下に見ていることは分かったし、俺だけではなくサラリーマンの方々をも馬鹿にしている。
「極道に身を置いてる…分かりやすくいえばヤクザだ」
「……は、ヤクザ?」
「それなりに色々な経験してるから、お前を玲緒と同じ状況にすることは簡単だ。その手のプロを呼んで撮影してやってもいい」
「……っ、そんなこと、するわけないだろ」
「嘘をつかないってこの前決めたばかりだからな。あ、なんだっけネットへの流出だっけか…それじゃあDVDでも作ってもらってそれを販売でもするか」
「なんでっ、なんで…邪魔すんだよっ、!」
そう言って高柳は頭をがっとかき始めた。
見てわかるようにいらいらしているようだ。
「邪魔してんのはお前だよ」
玲緒をあんなにも不安にさせて、こわがらせておいてよく言えるな、と逆に感心すらしてしまいそうになる。
「お前が諦めないつもりなら本当に呼んで撮影してもらうけど、どうすんだ?」
高柳はギッと歯を食いしばり俺を睨むだけだった。
別にこわくもなんともないが、ただ妙にいらいらとしてしまう。
「写真のデータはどれだ」
半ば強引に携帯を奪い写真のフォルダを開く。そして前に遡ると玲緒の写真が数十枚撮られていた。
それを削除し、ゴミ箱に移す。ゴミ箱からも削除してフォルダには残っていないようにした。
次にメールやメッセージを確認する。
パッと見たところ確かにほかの人には送っていないようだ。
玲緒には脅しと捉えられる文と一緒に送られていたが。
玲緒のアカウントやトーク画面を全て消去し、メールや電話番号も消した。
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