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第295話 唯side

「玲緒にはもう関わるな、これは絶対だ」 それに対する返事はなく高柳はさっきと同様に睨んだまま動かない。 「ついでに言っておくが、お前の両親のこととか諸々は調べさせてもらった。住所や連絡先まで抑えてあるから。もしお前が変な行動した時にはこっちもそれなりに対応する、あと大学は無くなったと思え」 「…っくそ、っくそっ!」 「俺の怒りは収まってない、足りてない脳でそれだけでも理解しとけ」 そう言ってホテルの部屋を出た。 フロントにお金を払い、駐車場に置いてある車まで歩く。 車に乗り込みゆっくりと発進させた。 はやく帰って抱きしめたい。 もう大丈夫だって安心させてあげたい。 だが本家に行く前に寄る場所がある。 * 「ただいま…玲緒は?」 「唯さんが使ってた部屋で眠ってるよ」 本家に着くと午後一番のゆったりした時間だということもあり、家全体が静まりかえっていた。 幹部室に行き、玲緒のことを尋ねると八坂が笑いながら答えてくれた。 若と一緒に話をしていたらしいが、眠ってしまったらしい。 若にも仕事があるはずなのに…と申し訳なく感じる。 部屋についてノックをすると中から若の優しい声が聞こえてきた。 「月宮です、入っても良いですか」 「どうぞ、玲緒くんはぐっすりだよ」 若はずっと玲緒のことを見ていてくれたらしい。ふふ、と笑って眠っている玲緒の隣に座っていた。 「すみません、若も忙しいのに…」 「気にしないで、仕事の息抜きに玲緒くんと話すのは楽しかったよ。それで八坂から大体の話は聞いたけど、なんとかなりそう?」 「ありがとうございます、まあなんとか話はつけてきました。この後の行動も見つつって感じですね」 「そう、それなら良かった。どうにもならなくなりそうだったら相談して…って唯はそんなことにならないか」 そう言って若はまた小さく笑った。

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