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第296話 唯side
「玲緒、なんか言ってましたか?」
「うーん…受験のこととか、恋愛の話とかしてたかなぁ」
恋愛…。
玲緒はどんな恋愛がしたかったのだろうか。
玲緒は今の俺との恋愛で満足しているのか。
本当は俺みたいな年上じゃなくて気軽に会えて話が出来る同年代の方が良かったんじゃないのか。
ふと考えれば様々な疑問が浮かび上がってくる。
そんな俺の心を読み取ったように若はゆっくりと口を開いた。
「玲緒くんは唯と居られるのが幸せだって嬉しそうに話してたよ」
「そう、ですか」
玲緒がそう思ってくれていたのならそれで良い…というか素直にすごく嬉しい。
「受験のことは、やっぱり不安みたい」
日程がどんどん近づいてる中、気持ちの起伏が激しくて悩んでるらしい。
唯が支えてあげて、と若は俺をまっすぐ見つめて言った。
「できることはなんでもしてやります」
「ふふ、相思相愛って感じだね」
そんなことを話していると玲緒がもぞもぞと動いて、横になったまま瞳を開けた。
「あれ……唯?」
「よく寝たか?」
「…うん、まあ…ふぁ……あ!」
欠伸をしたかと思えば大きな口を開けたまま大きな声を出した。
「だ、大丈夫…だった?」
「あぁ、大丈夫。もう心配しなくていいからな」
そう言って頭を撫でると安心したように「そっかぁ」と言って玲緒は小さく笑った。
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