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第299話
「明日は学校に行けそう?」
「…うん、がんばる」
いつまでもここにいちゃだめだ。
唯にも迷惑をかけるし自分のためにも良くない。
受験のことだってあるし……。
「良い子だな、ここから学校へ行く?」
そう言って笑いながら頭をわしゃわしゃと撫でてくる唯に頷いてみせる。
「じゃあ一旦玲緒の家に戻ろうか、荷物の整理とかあるだろ」
「うーん、いいの?」
「いいよ、もう少し休んだら行こうか」
「…ありがとう唯」
それから30分ほど唯の隣で休んでから、俺の家に向かった。
出迎えてくれた葉月は俺のことを心配してくれていたようで、「ただいま」と言うとほっとした表情で「おかえり」と言ってくれた。
「なんだ、また二人でいちゃいちゃしてたのか〜心配して損した〜」
「べ、つに…いちゃいちゃなんてしてないよっ!」
そんな風に言い合う俺たち兄弟を見守るように唯は笑っていた。
「今日も唯さんの家にお泊まり?」
「うん、ごめんね」
「別に〜1人の方が気楽でいいよ」
明日の持ち物も持ったし、教科書…ある。
大丈夫、かな。
「明日の朝ちゃんと起きてね」
「それは玲緒もだな」
俺が葉月に念を押すようにそう言うと唯がクスクスと笑いながら頭を撫でてくる。
最近頭を撫でられるのが多くなったなぁ…。
まあ好きだから嬉しいんだけど。
「わかってるよ!もういちゃいちゃすんな!」
いちゃいちゃしてるつもりは無いんだけどな、と少しだけ恥ずかしくなった。
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