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第309話
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時は流れて12月上旬。
気温は一段と低くなり厳しい寒さがずっと続いている。
外に出る時のマフラーは必須アイテムだ。
「……さむいなぁ」
「はやくかえろーっ」
「カイロあったけぇ」
いつもの三人で、校門の前をゆるゆるとまったり歩く。
夏樹が一番寒さ対策をしている気がする…。
マフラーを巻いてマスクをして手袋をして、コートを着ている。制服の下にも何枚か着込んでいた気がする。
それに対して翔は、初雪が楽しみなようだった。
夏樹はそんなもんいらねー、雪なんか降るな気温が下がる…とか言ってるけど気候はコントロールできるものじゃないし仕方ないよね。
「あ、唯からLINEだ」
唯との関係は相変わらずだ。
変わった点といえば週末に時間があれば、唯の家で勉強を教えてもらうようになったこと。
勉強する時間は増えたけど、いちゃいちゃする時間は減っちゃった。
ちょっとだけ寂しいけどこれも大学に合格するため。
合格したら一緒にいられる時間がもっと増えるし、たくさんいちゃいちゃできる……よね。多分。
『学校おつかれさま、終わった?』
『ありがとう、終わったよ』
『会いたい、迎えに行っても良い?』
『俺も!良いよ、学校で待ってるね』
「悪い、唯と約束が出来たから先帰ってて」
「…唯さん車?」
2人にそういうと夏樹が寒そうにしながらそんなことを聞いてきた。
「うん、そうだと思う」
「暖房の効いた空間……俺も唯さんと会う」
「もう!夏樹のばかっ、邪魔しないの!ほら行くよ!玲緒楽しんでね〜!ばいばい!」
「あぁ…暖房の効いた車が……」
そんな翔と夏樹のやりとりに思わず笑いが止まらなかった。
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