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第315話
そしてやってきた翌日。
俺と夏樹はショッピングモールを巡回していた。
ここに来るまでに話し合っても唯へのプレゼントはなかなか決まらなかった。
「唯さん何が欲しいんだろうな」
「分からないよね」
「まあとりあえず玲緒がいれば間違いはない」
「な、なんだよそれー!」
唯は俺だけがいれば満足するなんてこと絶対ない!!普通にプレゼントもらった方が100倍は嬉しいだろ。
「何がいいかな………あ」
「どうした」
「あれ、ちょっと見てみたい」
「……あぁ、なるほどな」
夏樹を引き連れて、俺はあんまり入ったことの無いそのお店に足を踏み入れた。
高校生のふわふわしたような俺は若干場違いな気もしちゃうけど、今は夏樹も一緒で一人じゃないから心強い。
「こういうのはどういうのが良いのか分からないや……夏樹は?」
「俺もこういうのはあんまり分かんね」
二人で分からないまま店内をぼーっと眺めて回っていく。
「綺麗だ………」
ガラスのショーケースに飾られているものはシンプルだけどかっこよくて、こどもの俺でも分かるようなちょっぴり高価なものだった。
「へぇ、良いの見つけたじゃん」
でも今日はこんなにお金持ってきてないし。
とりあえず、誕生日に渡したいプレゼントはこれで決まり!だけど、費用はまた相談ってとこかな。
「あのすみません」
俺は近くにいた店員さんを呼んで、ショーケースに飾られているそれを選ぶ。
「これって取り置きとか出来ますか?」
「はい、可能ですよ。こちらの商品の取り置き期間は1週間となりますが…」
「あ、それでお願いします!」
「では1週間後までは商品を保管しますが、1週間が過ぎたら無効になりますのでお気をつけください」
「ありがとうございます!」
1週間、かぁ。
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