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第321話
「…………だって唯いい匂いするんだもん」
「香水欲しいのかと思って」
違う、唯が付けてるから意味があるの!
…でもまぁ嬉しかったりするんだけど。
ていうか俺そんなに匂い嗅いでた!?めちゃめちゃ恥ずかしいんだけど!
「……嬉しい、ありがと唯」
そう言ってぎゅうっと唯を抱きしめると、唯も応えるように抱きしめてくれた。
唯は何かを思い出したようにハッとして、冷蔵庫から箱を取り出した。
「ケーキあるから好きなだけ食べな」
「…これ、唯が作ったり…」
「まあな」
唯が作ってくれたケーキっ!
生クリームがたくさん乗ってておいしそう。
あ、でもその前に
「唯、あのね……………これ、」
「なに?」
「唯もおめでとう」
俺は自分で選んだプレゼントを唯に渡した。
唯が俺にくれたものより多分安いし、あんまり高価には見えないけど今の俺の精一杯。
「今日は唯の誕生日でもあるんでしょ」
「…知ってたのか」
「俺にもお祝いさせて」
「開けてもいいか?」
「うん、いいよ」
丁寧にラッピングされた箱を開けていくと、俺がお店で選んだ時計が出てきた。
本体は深い青色でそれがグラデーションしている。針は白で見やすいと思う。
お洒落で綺麗だなぁって思って、唯がもらったら喜んでくれそう!とか思いながら買った。
唯、喜んでくれるかな?
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