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第327話
「玲緒、起きて」
「………」
「玲緒」
優しい唯の声と共にゆらゆらと揺らされる体。もう朝なんだなぁ…ってぼんやり頭の中で考える。
だけど冬ってやっぱり布団から出られないもので毛布にくるくるとくるまる。
「れーお」
「………」
「無視するなよ」
「……まだ寝てるもん」
別に無視してるわけじゃない、まだ寝てるんだ。あとすこしだけ布団にくるまらせて…。
「うぅっ…さ、寒…っ」
そんなことを思いながら布団にくっついていると容赦なく布団から剥がされた。
とてつもなく寒い…ことはなくて寝室内はエアコンのおかげでいくらか温かかった。
「今日は勉強するんだろ」
「するけど………」
「朝ごはん出来たから」
「んー」
抱っこ、と示すように両手を広げれば唯は苦笑いして「仕方ないなぁ」なんて言いたげな表情で俺を抱っこしてくれる。
そのままご飯を食べるテーブルまで移動させてくれた。
「あ、魚だ………やった」
テーブルにある焼き魚の美味しそうな匂いが俺の鼻にぷんぷんしてくる。
「いただきまーす」
「召し上がれ」
一緒にご飯食べれるの、幸せだなぁ。
魚も美味しいし最高。
でもせっかく唯と居られるのに勉強ってなんどかもったいな………いやいやいや、そんなことない。
大学受かって、もっと一緒にいれる時間を増やすためだもん。一瞬だけの我慢、一瞬………。
3日間、乗り切ろう。
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