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第334話
「玲緒の体が俺のあげたものでいっぱいになるの、嬉しい」
ぎゅうっと強く抱き締められ、耳元でそんなことを言われる。
「俺だって嬉しいよ、ありがとう唯」
唯といると心も体もぽかぽかと熱くなってくる。
それはきっと俺が唯といられて幸せだから。
「なあ、玲緒を抱きたい」
「…一昨日したばっかりだよ」
「お願い、今日は許して」
そんな風に言って俺を優しく見つめる唯に、ダメなんてことは言えるはずがなかった。
**
「ゆ、ぃ……っ」
「うん?」
「だい、すき…っ、すき…ぁ、」
「……俺も、好きだ」
俺の中に唯のそれが入ってくる。
もう何度も交わしている行為だが、その幸福感が失われることはない。
いつだって特別な行為で、そこにはたくさんの愛がある。
「ん、んんっ、…ぁ、や、」
「玲緒、こっち向いて」
*
対面座位で唇をきつく結びながら上に顔を上げている玲緒に唯が優しく声をかける。
玲緒は快感に耐えるのに必死らしく、目には薄らと涙が溜まっている。
その目はぼんやりとどこかを見つめている。
口もだらしなく空きっぱなしだ。
そのだらしなく空いた口からこんなに可愛い声を出すのか、と愛おしさを感じる
「ん〜っ、ぅ、あ…っ、中、…ぁっ」
自分の声が聞こえてない様子の、年下の恋人に唯は苦笑いしてからその唇を塞いだ。
「中出し、して…っ…せーし、だして……っ?」
どうしてこの子はこんなに愛おしいのだろう。玲緒の隣にいられて良かった、そんなことを唯は思っていた。
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