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第21話
聞こえてきた声を辿ると、いつの間にか後ろに立っていた唯。
今の、聞かれた…よね
「あ〜聞かれた〜もうやだ!恥ずかしいなぁ」
無理に笑顔を作ってその笑顔を唯に向けた。
正直もう苦しいなぁ
「別に聞くつもりはない…だから無理に笑うな」
そういって頭を撫でてくれる唯。
なんで、唯はこんなに優しいんだろ。
俺、唯とはついこの前まで無関係で唯にとっては利益も何もないのに
むしろ唯に迷惑をかけて、負担をかけて...
俺ってば何も返せてないじゃん...
「唯ってさ、なんで俺に構ってくれるの?」
「あ?」
「だってついこの前まで俺たち無関係だったんだよ?それに俺は唯に何もしてあげてないし、唯には利益なんてなにもないじゃんか」
「俺がお前を好きになったから、それだけ」
唯の唇から紡がれる言葉に胸の鼓動が早くなるのを感じた。
「そう、だったんだ…ねぇ唯、俺の話聞いてくれる?」
唯になら、話しても大丈夫ってそう感じたんだ。
ちゃんと人に話すのは初めてかもしれない。
どきどきしながら唯の返事を待っていたら
唯は当たり前だって言って、また頭を優しく撫ででくれた。
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