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第27話
結局、家の近くまで送ってもらうことになって、唯が運転する車に揺られていた。
「家に帰るの、嫌だなぁ」
車の外に流れていく景色を眺めながらぽつりと呟いた。
「玲緒なら、大丈夫だ」
その言葉に応えるように唯は俺の手を握って、優しくそういってくれた。
運転中なんだからちゃんと運転に集中しなよ、なんて思うけどそれ以上に嬉しいという気持ちが勝った。
唯は優しい。
優しくてかっこいいんだ。
唯への好きという気持ちがだんだんと大きくなっている。
それはもうどうしようもなくて、彼がする言動1つで胸が熱くなる。
認めたくないようで認めたい事実。
それから唯を変に意識してしまわないように外に広がる景色を見ていたらあっという間によく見ている景色が広がり、近くの公園までついてしまった。
「ありがと唯」
ゆっくりと車から降りて唯にお礼を言った。
本当は、まだ帰りたくないけど唯に迷惑をかけるわけにはいかない。
「じゃあな…あんまりケンカはするな」
「うん」
チュ、と触れ合う程度のキスをしてくれて胸がきゅうって痛くなる。
こんなことされたら離れづらくなるじゃんか…
そんな別れ惜しさを残しながらも玲緒は公園をあとに歩き出した。
唯は俺が見えなくなるまで車の外で見届けてくれてて、なんだか申し訳なく感じてちょっと早足で歩いた。
家の前ついて足を止める。
玄関の扉に手を置いて深呼吸をした。
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